平成21年7月10日判決では,従前の最高裁判例を踏襲して期限の利益喪失下の制限超過部分の支払については,支払の任意性の点で貸金業法43条1項の適用要件を欠き,有効な利息債務の弁済とはみなされない,ということを確認していますが,悪意の点について,期限の利益喪失下の支払の受領というだけでは,悪意の受益者とは認められない,としています。

そのため、貸金業者が、この最高裁判例を根拠として、悪意ではないから、民法704条の利息支払いをしないと主張することが予想されました。

もっとも、この最高裁判決がでてから、2カ月を経過しましたが、実務上、この点を裁判上主張してくる業者は見当たりません。

当事務所では、原則、訴訟前の和解交渉はしていないため(ほぼすべての貸金業者が減額和解を希望するため、過払い金満額返還での和解は期待できないからです)、訴訟前和解の段階で、この最高裁判例を理由として減額を求めてきているか否かは関知していませんが、裁判上の主張としてはないといえます。

この最高裁判例が、実務に与えた影響は限定的なようです。