自己破産の申し立てをすると、住宅ローンの支払い中で抵当権付きの家に住んでいる場合、自宅はどのようになるのでしょうか。

 

この章では、抵当権の付いた住宅ローン支払い中の家が、自己破産によってどのように扱われるのかを【詳しく】・【わかりやすく】解説いたします。
 

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抵当権の付いた住宅ローン支払い中の家について

 

私たちが住宅を購入する時は銀行や住宅金融公庫などから“住宅ローン”の貸付を受けることなります。
 

その住宅ローンを利用して不動産を購入すると、購入した不動産に「住宅ローンの支払いに伴う抵当権」が担保として付くことになります。

 

つまり、あなたが住宅ローンの支払いが滞ってしまった場合、あなたに貸付をした銀行等の債権者はもちろんのこと、不動産に担保をつけたサラ金等の貸金業者が、抵当権を実行して住宅を売ることができ、銀行等の抵当権者が優先的に貸付金の回収を行うことができるのです。
 

※抵当権者とは、抵当権を持っている債権者のことをいいます。

 

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なお、不動産に担保をつけていない他の貸金業者等の債権者は、その売却代金を受け取ることができません。

 

オーバーローンとは?

 
自己破産の手続きには、【同時廃止(資産や財産がほとんどない)】と【破産管財(一定以上の資産や財産がある)】場合の2種類があります。
 

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通常、土地や建物などの不動産を所持している場合は、たとえ「住宅ローンの支払い中」であっても、「破産管財事件」となり、破産管財人によって売却・換金されて債権者に分配されることになります。
 

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ただし、その場合でも、住宅ローンの残高が、不動産の価値(不動産評価額)よりも超えてしまっているケースが多くあり、これを「オーバーローン」といいます。

 
昨今の地価下落に伴い、このようなオーバーローンが全国的に広がっているのが現状です。
 

オーバーローンの目安は、ローン残高が不動産評価額の1・5倍以上(時価の1・5倍以上の被担保債権)であることが必要とされてます。

 

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不動産評価額は、市区町村で「不動産の固定資産評価証明書」を発行していただいて、その中の「固定資産評価額」を確認しますよ。


 

抵当権を所持する債権者は破産手続きの制約を受けない

 

抵当権を持っている抵当権者(銀行などの債権者)は、破産手続きの進行にかかわらずに抵当権を実行できますので、抵当権付きの不動産を売却して優先的に返済を受けることができます。
 

なお、破産法でも抵当権等の担保権は別除権(抵当権の目的となっている財産から他の債権者に先立って弁済を受けることができる権利)と言われており、原則として破産手続きの制約を受けずに抵当権の実行が可能です。
 

(しかしながら、地価の下落などもあり、現実にはただちに競売の申し立てがなされていないようです。)
 

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ローン残高が不動産評価額の1・5倍以上の場合は同時廃止

 
それでは、東京地方裁判所の例を見てみましょう。

 
例えば、Aさんは銀行から住宅ローンで不動産を購入し、その不動産に住宅ローンのための抵当権をつけました。

 
その自宅の不動産評価額(不動産の価値)を鑑定していただいたところ、評価額が1000万円で、この時の住宅ローン残高が2000万円でした。
 

この場合、その不動産を売りに出しても1000万円程度の価値しかなりません。

 
つまり、住宅ローンの残高が2000万円に対して、不動産評価額は1000万円なので、まさに2倍のオーバーローンとなっています。

 
このような場合では、自己破産によってたとえ自宅を処分しても、不動産に担保をつけている債権者にすら全額返済が不可能です。
 

つまり、“不動産としての財産価値がない”ものとみなし、いわゆる資産とみなされませんので、「同時廃止」として破産手続きをすすめることになるのです。

 
他方、住宅ローンの残高が、不動産評価額の1・5倍以下の場合では資産として扱われますので、「破産管財」の手続きとなります。
 

オーバーローンが同時廃止となる理由は?

 

上記のように、破産者の所有する不動産がオーバーローンの場合で、この不動産が競売により換価処分されると、その全ての売却代金は(住宅ローンを貸付した)抵当権者の銀行に支払われます。

 
よって、抵当権を所持していない他の債権者には1円も配当されません。

 
例えば、上記のAさんの所持される抵当権付きの不動産が1000万円で売却できても、住宅ローンの残高が2000万円ですので、1000万円の売却代金は貸付した銀行に支払われることになります。
 

上記の例では、銀行以外にAさんに対して債権を所有する債権者がいても、住宅等を売った代金は、まずは優先的に抵当権者の銀行の住宅ローン債権に充てられて、残りの代金が他の債権者の分配されます。

 
しかし、Aさんの場合では、オーバーローンで分配される残りの代金はありません。
 

そのため、抵当権付きのオーバーローンの不動産を所有している場合、他のサラ金などの債権者にとっては全く価値がないのです。

 
一方、抵当権を所有している債権者は破産手続きで換価されなくても「競売」などによって抵当権を実行できますので、破産管財人による換価処分の必要もありません。

 

同時廃止でオーバーローンの家(抵当権付き不動産)は処分される

 
自己破産は最終的な精算手続きである以上、手持ちの財産や資産(生活に必要な最低限の財産等は除く)は強制的に換価されてしまい、債権者に分配されるのが原則です。

 
そして同時廃止とは、「債務者が不動産やその他のめぼしい財産・資産を所有していない場合に破産開始決定と同時になされる」裁判所の決定です。
 

しかしながら、住宅ローンには金融機関や保証会社などの「抵当権」が付いているために、「破産手続きの進行に関わらず債務者が住宅ローンを支払えなくなる」ことで、抵当権者は抵当権を実行できます。
 

さらに、競売等によってその不動産を処分することが可能なので、当然に自宅を処分することになります。

 
なお、抵当権者による自宅の売却や競売手続きが終了となるまでは、自宅に住み続けることは可能です。

 
具体的にどの期間住み続けられるかどうかは、ケースバイケースですが、現在の不動産状況からすると、半年から1年半程度ではないかと思われます。
 

この期間で新たな住まいを探して自宅を退くことになりましょう。
 

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住宅ローンの返済が困難な場合には【個人再生手続き】の検討を!

 

自己破産せず持ち家残す!住宅ローン返済中の方は個人再生の選択を
 
住宅ローンを組んで自宅を購入した人が債務整理を行う場合、どうしても自宅を手放したくないものです。
 

そこで、住宅ローンを支払いながら個人再生手続きを行う制度(住宅資金特別条項)を利用できることがあります。

 
この制度を一言でいうならば、返済計画通りの返済を続けている限り、自宅を守ることができる制度です。

 
具体的には、再生計画の認可により、不動産の競売はできなくなり、他の一般債については減免を受けながら、また、住宅ローンについては弁済計画(減免なし)に従い返済していきます。
 

もちろん個人再生手続きにもデメリットがありますが、住宅を手放さずに経済的に更生するためのスタートとして生かしてみましょう。
 

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ツワブキ(困難に負けない)ツワブキ(困難に負けない)

個人再生手続きは、どうしても自宅を手放したくない場合に考えますよ。ただ、住宅ローン債権が免除になったり、減額されたりすることはありませんからね。ご家族にとっても最善の方法を、弁護士や司法書士とご相談することですよ!弁護士や司法書士は、あなたの頼もしい味方なのですからね。