【質問】

再生計画が認可されて、その決定も確定してから1年間、私は再生計画通りに一生懸命分割返済をしてきました。

しかし、ここへ来て私は突然にリストラに遭い、長年勤めていた会社を退職しました。

定年間際でしたので、私も家族共々大変ショックです。

これから新しく仕事を見つけることになりますが、給与も手当てもこれまで通りでなくなります。

もう、このままでは再生計画を遂行ですることはできないのが目に見えています。

このような状態ですが、最悪、返済の期間を延長できないものでしょうか。

今はただただ、精神的に辛いです。

 

本当に苦しみの日々ですね。お辛い中ですね。

再生計画の認可決定が確定したら、再生計画に定められた返済を継続していかなければなりませんが、その途中でどのような不測の事態が起こるのかわかりません。

ご質問者様のように、計画通りの返済が困難になる場合もあるのです。

その場合に、計画を取消したり、再生計画そのものを廃止して、破産手続に委ねるほかない債務者もいるかもしれません。

しかし、「取消し」や「廃止」といった転換しか選択がないのは債務者にとっては不便であり、場合によっては「再生計画の変更」を認めて、それを遂行するほうが、債務者はもちろん、債権者にとっても好ましい場合もあるのです。

そのような場合に備えて、民事再生法は、再生計画の変更という制度を設けているのです。

本章では、個人再生手続における「再生計画の特色」及び、再生計画の変更に伴う「弁済期間の延長」について、法令を基に、わかりやすく解説いたします!

債務整理に特化して全国対応!信頼と実績誇る弁護士・司法書士をご紹介

珈琲 左


個人再生手続は、住宅ローンを除く借金の総額5,000万円以下の債務者が、借金の20%を3年で分割して支払うことで、残りの80%の借金は免除される債務整理の方法です。

さらに、手続はただ単に借金を減らすだけではなく、住宅を処分せずに守れることに大きな特徴があります。

しかし個人再生手続は、債務整理の中でも要件が大変に厳しく、手続も非常に複雑です。

そのため、個人再生手続を申し立てる場合には弁護士(または司法書士)等の専門家のアドバイスが必要になってきます。

また、裁判所においても、基本的には代理人として事前に弁護士をつけての申立てを想定されています。

個人再生手続における計画変更の特色を知ろう!

通常の民事再生手続の場合では、再生計画の変更を行うことのできる時期が【再生手続終了前】に限られている反面、変更の内容については特に制限を設けておりません。

これに対して、「個人再生手続」の場合では、【再生手続終了後】であっても、再生計画の変更が可能となっているのです。

それでは、個人再生手続における再生計画の変更について、法令を基に確認してみましょう。

関連記事⇒住宅ローンとサラ金の返済二重苦の方へ!個人再生で自宅を守り借金減額を

 

再生計画の変更の要件とは

民亊再生法 第234条 

 小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。

この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定めなければならない。

 

小規模個人再生手続において再生計画を変更する場合には、第234条の規定のように、「再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。」とされています。

つまり、変更を認めてもらうには、やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難になったときでなければなりません。

これは、破産を回避するかわりに、最初からある程度の辛抱を債務者に求めつつ、再生のチャンスを与える趣旨と捉えられましょう。

ですので、多少の困難は乗り越えてもらうこととし、変更が認められるのは、あくまでも「著しく困難という状況に陥っている債務者に限る」とされているのです。

ただ単に、「この計画で頑張って返済してきたけれど、やっぱり返済厳しいや。。。」等は認められません。

一般的にはご質問者様のように、リストラに遭って職を失った場合や、当初想定していた収入が予想外に落ち込んだ場合が考えられましょう。

関連記事⇒小規模個人再生と給与所得者等再生の認可の違いと選択のポイントとは

関連記事⇒借金の支払いが限界!死を思うより自己破産の免責制度で返済免除を!

返済期限の延長とは?

それでは、再生計画の変更とは、どのような変更をいうのでしょうか。

それは、【返済期限の延長】にあります。

返済総額を変更しないで遂行が著しく困難になった債務者を救済するためには、返済期限の延長を認めるしかないわけです。

延長期間は最大2年間まで

ただし、闇雲に無制限に期限を延長するわけにもいきません。

延長できる期限は「再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定めなければならない。」と規定されているのです。

少額の債権について、あまりにも長期の分割を認めると、債権者の債権管理の費用もかさみ、債権者には非常に多くの負担を与えてしまいかねません。

そこで、民事再生法は、延長期間は最大2年間までという制限を設けたのです。

珈琲 右

再生計画の変更が認められるのは、あくまでも「期限の延長」のみとなります。

つまり、延長期間は、再生計画で定められた最終の期限から2年以内となり、または最長2年間までということになりましょう。

なお、最初の再生計画の弁済期間は、原則として3年間とし、特別な事情がある場合には5年間までと認められています。

延長期間はあくまでも最長2年間!


民亊再生法 第229条 第2項2号

最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から3年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から5年を超えない範囲内で、3年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。

 

再生計画の変更による期限の延長が認められる場合には、最初の再生計画から考えると、最長7年間の返済期間がありえることになりましょう。

なお、再生計画の変更は、要件を満たしていれば何回でもできますが、延長できる期間はあくまでも2年間です。

(最初の再生計画で定まった最終弁済期限から通じて最長2年間)

そのため、返済額を縮小するような変更は、一切認められません。

すなわち、債務者の収入減があった場合も、期間を延長することで当初の弁済額をできるだけ完済していくのが望ましいといえましょう。

「延長期間は2年間」の限定はなぜ?

それでは、なぜ最大で2年間の弁済期間の延長とされているのでしょうか。

実は、これも、小規模個人再生の特質に配慮されたものとえいるのです。

小規模個人再生での対象事件は、無担保債権の総額が5000万円までの個人債務者としています。

ですので、各々の債権者の債権額はもちろん、計画に定められた基準による弁済額もそれほど多くはありません。

いかに債権者の多くが個人に信用を与え、小口債権の管理に通じていても、弁済期間があまりにも長くなると諸々の費用が非常にかかることになってしまいます。

そのため、当初の弁済期間の標準を3年としており(上記229条)、さらに、3年も4年も延長するのはどうなのかと考えられ、2年の延長を限度とされたのです。

なお、特別の事情により、当初の弁済期間が5年と設定された場合であっても、延長は2年間に限られます。

(その場合、通算7年が小規模個人再生における最長弁済期間となりましょう。)

変更計画案の変更の効力について

再生計画の変更の申立ては債務者のみが行うことができ、債権者から申立てることはできません。

申立ては、申立書を裁判所に提出し、同時の変更計画案も提出することになります。

変更の計画案は、再生計画案の場合と同じ手続を経て認可・決定・確定に至って、はじめて変更の効力が生じます。

つまり、債権者の頭数で2分の1以上または債権額で2分の1を超える不同意があると、計画の変更は認められないことになるのです。

再生計画の計画変更は債権者の意思によって可否となりうる

質問者様のように会社の経営悪化によるリストラやボーナスカット・病気・転職等による家計収支の状況悪化は、まさに民事再生法第234条における「やむを得ない事由」となりましょう。

そのような事由によって、再生計画の履行が困難になる場合であっても、同234条の「著しく困難」とならなければ計画変更の理由になりません。

しかしながら、計画変更の可否については、結局は債権者の法定多数の意思によって決まりまることから、つまるところ、債権者の判断に任せることになるのです。

再生計画の期間中に支払いができなくなったらどうしたらいい?

弁済期間を延長しても、再生計画による弁済の実行が困難になった場合には、一定の要件のもとで、(再生手続開始前の罰金等を除く)債権者に対する全ての債務について、責任を逃れることができます。

このような、再生計画の変更すら困難な状況に陥った場合の最後の手段として残されているのが、「ハードシップ免責」です。

珈琲 左


ハードシップ免責の決定が確定すると、債務者は、個人再生手続開始前の債務のうち、罰金等以外の債務について免責されることになりますよ。

つまり、再生計画を完遂した場合と同じ効果が与えられるわけです。

ただし、ハードシップ免責にも要件がありますから確認してみますよ。

ハードシップ免責の要件とは

これまで述べましたように、事情の変更による計画遂行が困難は、イコール債務者に「不運」が舞い込んでいる状況です。

そのような【極めて困難】な場合には、ハードシップ免責が認められる可能性もありますので、まさしく「変更で対処できる場合」との境界が重点をなりましょう。

なお、小規模個人再生手続の再生計画の履行中において、再度、新たに再生計画を申立てることは、手続上では非常な複雑化を免れませんが、最後の手段として可能といえましょう。

ハードシップ免責を受けるには、下記のような要件が必要になります。

免責の必須要件

・再生債務者の責に帰すべき事由のない場合で再生計画の遂行が極めて困難であること。

・変更後の基準債権について、4分の3以上の額の弁済を終えていること。

・清算価値保障の原則を満たすこと。

・再生計画の変更をすることが極めて困難であること。

 

再生計画の遂行が極めて困難である例として、

①病気が長引いて長期間の入院を余儀なくされる等で働くことができない場合。

②リストラにあい、年齢的な問題や社会経済情勢等の問題により、再就職が困難と認められる場合等がありましょう。

関連記事⇒再生計画の返済困難!破産回避してハードシップ免責を利用するには?

関連記事⇒ハードシップ免責の手続と効果とは?民亊再生法を基に解説します!

住宅ローン等の担保権については?

ハードシップ免責によって、再生計画を完遂した場合と同様の効果が与えられます。

ただし、ハードシップ免責の決定を得た場合でも、その効果は住宅ローン債権者の持つ抵当権には及びません。

したがって、「住宅資金貸付債権に関する特則」を利用してる債務者の場合、再生計画に定められた返済を続けていくことが困難となった場合、担保権を実行されて、自宅を手放すことを余儀なくされてしまいます。

このため、再生計画の履行が困難となり、破産原因があるならば、分割払いの方向となる債務整理は断念することになりましょう。

なお、再生計画の履行途中で自己破産に切り換えることは、いつでも可能です。

関連記事⇒競売せず自宅を守る!住宅資金貸付債権に関する特則の意味と要件とは

個人再生の最低弁済額と清算価値保証の要件とは?自己破産との関係は?

民亊再生法 第190条

再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。

ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。

 

この場合、破産手続開始決定(破産宣言)がなされると、新たに再生手続開始決定がされた時と同様に、従前の再生計画によって権利変更された債権は現状に復する等の扱いとなります。

珈琲 左


弁護士や司法書士に個人再生手続を委任することで、

●書類作成や申立てを一任できます。

●難しい再生計画案を相談でき、作成していただけます。

●住宅を手放さない手続も依頼できます。

●委任することで(最短で)業者からの取立て・催促・督促を止められます。

当サイトにてご紹介する全ての弁護士・司法書士は個人再生手続はもちろん、任意整理や自己破産といった債務整理に特化した信頼と実績誇る法律事務所です。

なお、受任前の債務整理のご相談は、「無料相談」を実施しておりますので、どうか気軽に、何でもご相談をなさってくださいね。

債務整理に特化して全国対応!信頼と実績誇る弁護士・司法書士をご紹介

個人再生手続きにおける詳細内容は、こちら(仙台)地方裁判所のHPよりご確認いただけます。

さらに、鹿児島地方裁判所のHPにおかれても、個人再生手続きの詳細をわかりやすく説明されております。

個人再生手続きの主なQ&Aは、名古屋・愛知簡易裁判所のHPよりご確認いただけます。