【質問】
 

再生計画が認可されて、その決定も確定してから1年間、私は再生計画通りに一生懸命分割弁済をしてきました。
 

しかし、ここへ来て私は突然にリストラに遭い、長年勤めていた会社を退職しました。
 

定年間際でしたので、私も家族共々大変ショックです。
 

これから新しく仕事を見つけることになりますが、給与も手当てもこれまで通りでなくなります。
 

もう、このままでは再生計画を遂行ですることはできないのが目に見えています。

 

このような状態ですが、最悪、返済の期間を延長できないものでしょうか。
 

今はただただ、精神的に辛いです。
 

 

本当に苦しみの日々ですね。お辛い中ですね。
 

再生計画の認可決定が確定したら、再生計画に定められた返済を継続していかなければなりませんが、その途中でどのような不測の事態が起こるのかわかりません。
 

ご質問者様のように、計画通りの履行が困難になる場合もあるのです。
 

その場合に、計画を取消したり、再生計画そのものを廃止して、破産手続に委ねるほかない債務者もいるかもしれません。
 

しかし、「取消し」や「廃止」といった転換しか選択がないのは債務者にとっては不便であり、場合によっては「再生計画の変更」を認めて、それを遂行するほうが、債務者はもちろん、債権者にとっても好ましい場合もあるのです。
 

そのような場合に備えて、民事再生法は、再生計画の変更という制度を設けているのです。
 

本章では、個人再生手続における「再生計画の特色」及び、再生計画の変更に伴う「弁済期間の延長」について、わかりやすく解説いたします。
 

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個人再生手続における計画変更の特色を知ろう!

 

通常の民事再生手続の場合では、再生計画の変更を行うことのできる時期が【再生手続終了前】に限られている反面、変更の内容については特に制限を設けておりません。
 

これに対して、「個人再生手続」の場合では、【再生手続終了後】であっても、再生計画の変更が可能となっているのです。
 

それでは、個人再生手続における再生計画の変更について、法令を基に確認してみましょう。

 

再生計画の変更の要件とは

 

 

民亊再生法 第234条 
 

 小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。
 

この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定めなければならない。
 

 

小規模個人再生手続において再生計画を変更する場合には、第234条の規定のように、「再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。」とされています。
 

つまり、変更を認めてもらうには、やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難になったときでなければなりません。
 

これは、破産を回避するかわりに、最初からある程度の辛抱を債務者に求めつつ、再生のチャンスを与える趣旨と捉えられましょう。

ですので、多少の困難は乗り越えてもらうこととし、変更が認められるのは、あくまでも「著しく困難という状況に陥っている債務者に限る」とされているのです。

ただ単に、「この計画で頑張って返済してきたけれど、やっぱり返済厳しいや。。。」等は認められません。
 

一般的にはご質問者様のように、リストラに遭って職を失った場合や、当初想定していた収入が予想外に落ち込んだ場合が考えられましょう。
 

弁済期限の延長とは?

 

それでは、再生計画の変更とは、どのような変更をいうのでしょうか。
 

それは、【弁済期限の延長】にあります。
 

弁済総額を変更しないで遂行が著しく困難になった債務者を救済するためには、弁済期限の延長を認めるしかないわけです。
 

ただし、闇雲に無制限に期限を延長するわけにもいきません。
 

延長できる期限は「再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定めなければならない。」と規定されているのです。
 

少額の債権について、あまりにも長期の分割を認めると、債権者の債権管理の費用もかさみ、債権者には非常に多くの負担を与えてしまいかねません。
 

そこで、民事再生法は、延長期間は最大2年間までという制限を設けたのです。
 

ツワブキ(困難に負けない)ツワブキ(困難に負けない)

再生計画の変更が認められるのは、あくまでも「期限の延長」のみとなります。

つまり、延長期間は、再生計画で定められた最終の期限から2年以内となり、または最長2年間までということになりましょう。

なお、最初の再生計画の弁済期間は、原則として3年間とし、特別な事情がある場合には5年間までと認められています。

 

延長期間はあくまでも最長2年間!

 

 

民亊再生法 第229条 第2項2号
 

最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から3年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から5年を超えない範囲内で、3年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。
 

 

再生計画の変更による期限の延長が認められる場合には、最初の再生計画から考えると、最長7年間の弁済期間がありえることになりましょう。
 

なお、再生計画の変更は、要件を満たしていれば何回でもできますが、延長できる期間はあくまでも2年間です。
 

(最初の再生計画で定まった最終弁済期限から通じて最長2年間)
 

そのため、弁済額を縮小するような変更は、一切認められません。
 

すなわち、債務者の収入減があった場合も、期間を延長することで当初の弁済額をできるだけ完済していくのが望ましいといえましょう。
 

「延長期間は2年間」の限定はなぜ?

 

それでは、なぜ最大で2年間の弁済期間の延長とされているのでしょうか。
 

実は、これも、小規模個人再生の特質に配慮されたものとえいるのです。
 

小規模個人再生での対象事件は、無担保債権の総額が5000万円までの個人債務者としています。
 

ですので、各々の債権者の債権額はもちろん、計画に定められた基準による弁済額もそれほど多くはありません。
 

いかに債権者の多くが個人に信用を与え、小口債権の管理に通じていても、弁済期間があまりにも長くなると諸々の費用が非常にかかることになってしまいます。
 

そのため、当初の弁済期間の標準を3年としており(上記229条)、さらに、3年も4年も延長するのはどうなのかと考えられ、2年の延長を限度とされたのです。
 

なお、特別の事情により、当初の弁済期間が5年と設定された場合であっても、延長は2年間に限られます。
 

(その場合、通算7年が小規模個人再生における最長弁済期間となりましょう。)

 

変更計画案の変更の効力について

 

再生計画の変更の申立ては債務者のみが行うことができ、債権者から申立てることはできません。
 

申立ては、申立書を裁判所に提出し、同時の変更計画案も提出することになります。

 

変更の計画案は、再生計画案の場合と同じ手続を経て認可・決定・確定に至って、はじめて変更の効力が生じます。
 

つまり、債権者の頭数で2分の1以上または債権額で2分の1を超える不同意があると、計画の変更は認められないことになるのです。
 

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再生計画の計画変更は債権者の意思によって可否となりうる

 

質問者様のように会社の経営悪化によるリストラやボーナスカット・病気・転職等による家計収支の状況悪化は、まさに民事再生法第234条における「やむを得ない事由」となりましょう。
 

そのような事由によって、再生計画の履行が困難になる場合であっても、同234条の「著しく困難」とならなければ計画変更の理由になりません。
 

しかしながら、計画変更の可否については、結局は債権者の法定多数の意思によって決まりまることから、つまるところ、債権者の判断に任せることになるのです。
 

再生計画の期間中に支払いができなくなったらどうしたらいい?

 

弁済期間を延長しても、再生計画による弁済の実行が困難になった場合には、一定の要件のもとで、(再生手続開始前の罰金等を除く)債権者に対する全ての債務について、責任を逃れることができます。
 

このような、再生計画の変更すら困難な状況に陥った場合の最後の手段として残されているのが、「ハードシップ免責」です。
 

ツワブキ(困難に負けない)ツワブキ(困難に負けない)

ハードシップ免責の決定が確定すると、債務者は、個人再生手続開始前の債務のうち、罰金等以外の債務について免責されることになりますよ。

つまり、再生計画を完遂した場合と同じ効果が与えられるわけです。

ただし、ハードシップ免責にも要件がありますから確認してみますよ。

 

ハードシップ免責の要件とは

 

これまで述べましたように、事情の変更による計画遂行が困難は、イコール債務者に「不運」が舞い込んでいる状況です。

そのような【極めて困難】な場合には、ハードシップ免責が認められる可能性もありますので、まさしく「変更で対処できる場合」との境界が重点をなりましょう。

なお、小規模個人再生手続の再生計画の履行中において、再度、新たに再生計画を申立てることは、手続上では非常な複雑化を免れませんが、最後の手段として可能といえましょう。

ハードシップ免責を受けるには、下記のような要件が必要になります。
 

 

免責の必須要件
 

・再生債務者の責に帰すべき事由のない場合で再生計画の遂行が極めて困難であること。
 

・変更後の基準債権について、4分の3以上の額の弁済を終えていること。
 

・清算価値保障の原則を満たすこと。
 

・再生計画の変更をすることが極めて困難であること。
 

 

再生計画の遂行が極めて困難である例として、
 

①病気が長引いて長期間の入院を余儀なくされる等で働くことができない場合。
 

②リストラにあい、年齢的な問題や社会経済情勢等の問題により、再就職が困難と認められる場合等がありましょう。
 

住宅ローン等の担保権については?

 

ハードシップ免責によって、再生計画を完遂した場合と同様の効果が与えられます。
 

ただし、ハードシップ免責の決定を得た場合でも、その効果は住宅ローン債権者の持つ抵当権には及びません。
 

したがって、「住宅資金貸付債権に関する特則」を利用してる債務者の場合、再生計画に定められた返済を続けていくことが困難となった場合、担保権を実行されて、自宅を手放すことを余儀なくされてしまいます。
 

このため、再生計画の履行が困難となり、破産原因があるならば、分割払いの方向となる債務整理は断念することになりましょう。
 

なお、再生計画の履行途中で自己破産に切り換えることは、いつでも可能です。
 

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民亊再生法 第190条
 

再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。
 

ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。
 

 

この場合、破産手続開始決定(破産宣言)がなされると、新たに再生手続開始決定がされた時と同様に、従前の再生計画によって権利変更された債権は現状に復する等の扱いとなります。
 

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