個人民事再生で、整理の対象となる債務を【再生債権】と呼ばれています。

 

本来、個人再生手続きは、裁判所の手続きによって大幅に減額された借金を一定期間払い続けることにより、破産せずに経済的な再建を目指すことを目的とされています。

 

しかし、全ての借金に対して減額や分割払いが対象となる訳ではありません。
 

再生債権が延滞している貸金債権がある場合には、その貸付元本、約定利息、開始決定までの遅延損害金も含まれます。

 

この章では、個人再生の対象債権となる「再生債権」について、その種類や内容によってどのような特則があるのかを民事再生法を基として、わかりやすくご説明いたします!

 

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ツワブキ(困難に負けない)ツワブキ(困難に負けない)

個人再生を考えているのですね。必ず乗り越えられますからね。まずは、あなたの負担している債務が減額可能で、今後の分割払いに該当する再生債権であるかどうかを見極めてみましょう。これは、個人再生手続の第1歩ですからね。なお、住宅ローン(住宅資金貸付債権)については、特別な取り扱いとなりますよ。

民事再生法第84条

【第1項】再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債
権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ )は、再生債権とする。

【第2項】次に掲げる請求権も、再生債権とする。

【第2項の1】再生手続開始後の利息の請求権

【第2項の2】再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権

【第2項の3】再生手続参加の費用の請求権

 

再生債権とは何?

 

再生債権は、再生手続開始前の原因に基づい生じた財産上の請求権ですが、そのうち、一般優先債権や共益債権が除かれます。

 

最初に、減額や免責等の対象とはならずに随時返済が必要な①一般優先債権及び②共益債権を確認してみましょう。
 

一般優先債権とは

 

民事再生法第122条(一般優先債権)

 

【第1項】一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。

 

【第2項】一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。

 

再生債権では、まず、一般優先債権が除かれます。
 

再生手続きのために、裁判所に収める手数料や所得税、住民税などの租税、健康保険料、国民年金保険料、そして罰金や科料、過料などの税金を除きます。
 

また、事業主などで従業員などを雇っている場合の“未払い賃金”も一般優先債権となります。
 

このような債権については、再生手続きとは別個のものですので、債務者は随時返済する必要があります。

 

共益債権とは

 

民事再生法第49条(双務契約)

【第4項】 第一項の規定により再生債務者の債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は、共益債権とする。

 

民事再生法第50条

【第2項】前項の双務契約の相手方が再生手続開始の申立て後再生手続開始前にした給付に係
る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の
属する期間内の給付に係る請求権を含む )は、共益債権とする。

 

民事再生法第120条

【第3項】再生債務者が第一項の許可又は前項の承認を得て第一項に規定する行為をしたとき
は、その行為によって生じた相手方の請求権は、共益債権とする。

 

共益債権とは、再生計画を成し遂げるために必要な費用のことです。
 

例えば、債務者が事業を営んでいる場合において、事業を継続するために欠かすことのできない原材料の購入費用等が共益債権に該当されます。

 

もちろん、事業を営んでいない一般の債務者の場合でも、生活に必要な電気料金や水道料金、ガスなども共益債権となります。
 

(※上記のものの、購入時期や利用時期によっては共益債権に含まれない場合もあります。)

 

担保付債権は別除権となり対象外

 

抵当権などの担保が設定されている債権についても、破産手続上では「別除権」と呼ばれており、一般の債権者とは別に返済を受けなければならず、やはり対象外です。
 

破産法第2条 

【第9項】
この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。

 

なお、この別除権を所有する人を「別除権者」と呼びます。

 

つまり、別除権というのは、担保権が設定されている場合にあっては、たとえ破産手続が開始している場合にあっても、担保権者は担保権を実行して自分の債権に充てることが可能なわけです。

 

例えば、住宅ローンを貸す際に、担保として設定される抵当権を見てみましょう。

 

抵当権とは、貸金などの債権を担保するために、債務者の土地や建物に設定される権利をいいます。
 

もしも債務者が債務の返済ができない場合には抵当権者(=債権者)は担保をつえていない債権者に優先して、その土地や建物を競売でき、その売却代金から債権の回収を図ります。

 

このような別除権者の権利を認めるものが別除権の趣旨にあたります。
 

なお、「住宅ローンに関する特則」の適用を受けた場合では、住宅ローンの残債務額全額が再生債権から除かれることになります。

 

つまり、通常の住宅ローンでは抵当権が設定されますが、住宅ローンの残額から抵当権でカバーできる額を引いた額(担保不足額)が再生債権になる場合もありましょう。
 

再生債権は“一般優先債権と共益債権”以外の債務者の負う借金のこと

 

それでは、再生債権とはどのようなものが含まれるのでしょうか。

 

上記の2つの債権においては、債務者は何とか頑張って支払わないとならない債権です。

 

しかしながら、再生債権では債務者が本来負っている借金については、元本や利息、そして手続開始までに発生した遅延損害金についても、引き直し計算によって大幅に減額されることになります。

 

もちろん、手続開始前から発生している銀行や信販会社など金融機関からの借金や、消費者金融、クレジットカードによる建て替え払い、取引先からの買掛金、そして身内や友人などからの借金や保証人になっている場合の保証債務など、ありとあらゆる借金が再生債権の対象となるのです。
 

再生手続開始後は再生計画に従っての弁済が大原則!

 

再生手続開始後における再生債権については、原則、再生計画に定める弁済方法に従って返済をすることになります。

 

民事再生法第85条(再生債権の弁済の禁止)
【第1項】
再生債権については 再生手続開始後は この法律に特別の定めがある場合を除き 、、 、
再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅
させる行為(免除を除く)をすることができない。

 

上記のように再生計画に従わない弁済等の行為が発覚すると無効となりますので注意が必要です。

 

再生手続開始後での弁済を許可する条項を確認

 

なお、下儲け業者に対する弁済の許可がなされる場合もある他に、事情が考慮されて判断が下されることになります。
 

民事再生法第85条

【第2項】再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受け
なければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画
認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又
は一部の弁済をすることを許可することができる。

 

民事再生法第85条
【第3項】裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、再生債務者と同項の中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。

 

さらに、

民事再生法第85条
【第5項】少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

とされております。

 

このように、再生債権の適用が許可されるには、以下のような要件が必要になります。

 

①再生債務者を主要な取引先とする企業であること
  

②中小企業者であること
 

 
③事業の継続に著しい支障を来すおそれがあること

 

なお、①の“再生債務者を主要な取引先とする企業”とは、当該企業の再生債務者に対する「依存度」によって決定づけられ、依存度は再生債務者との取引高及び当該企業の取引高によって計算されます。
 

無意義債権とは

 

また大変に難しい言葉が出てきました。
 

個人再生手続が開始されると、裁判所から各再生債権者に対して“再生債権を届けてください”との通知が届きます。各再生債権者が債権届を提出します。

 

再生債権者から届出のあった再生債権は、当然ながら債権調査の対象となりますが、このような再生債権のことを「届出再生債権」と呼ばれており、その再生債権を有する債権者のことを「届出再生債権者」といいます。
 

民事再生法第225条
債権者一覧表に記載されている再生債権者は、債権者一覧表に記載されている再生債権については、債権届出期間内に裁判所に当該再生債権の届出又は当該再生債権を有しない旨の届出をした場合を除き、当該債権届出期間の初日に、債権者一覧表の記載内容と同一の内容で再生債権の届出をしたものとみなす。

(届出再生債権に対する異議)

 

民事再生法第244条
第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。

(通常の再生手続に関する規定の適用除外)

 

一方、債務者が提出した“債権者一覧表”には記載されてているものの、債権届を提出していなかった再生債権は「みなし債権」となります。

 

その場合、あらためて債権届をするか、または再生債権を有しない旨の届出をしない限り、債権届出期間の初日に届出をしたものとみなされて、再生手続きへの参加の簡易化が図られています。
 

なお、この“みなし届出”においても上記の届出再生債権に含まれます。
 

これらの届出再生債権については、債権調査の対象となり、再生債務者はその届出内容に異議があるか、または異議がなく認めるかの認否を行います。
 

もちろん、再生債権者も他の再生債権についての異議を述べることができます。

 

民事再生法第230条
【第8項】 
届出再生債権者は、一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかった届出再生債権(第二百二十六条第五項に規定するものを除く。以下「無異議債権」という。)については届出があった再生債権の額又は担保不足見込額に応じて、第二百二十七条第七項の規定により裁判所が債権の額又は担保不足見込額を定めた再生債権(以下「評価済債権」という。)についてはその額に応じて、それぞれ議決権を行使することができる。
(再生計画の認可又は不認可の決定)

 

このように、届出額について、異議がなければ「無意義債権」として確定することになります。
 

評価済債権とは

 

上記の届出額について、再生債務者または再生債権者が異議を述べた場合、異議申述された再生債権者は、自ら費用を予納したうえで、評価の申立てをして、裁判所に再生債権の評価をしてもらうことになります。
 

なお、この異議申述期間の末日から3週間以内であれば、再生債権評価の申立てが可能となります。
 

民事再生法第227条

前条第一項本文又は第三項の規定により再生債務者又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権を有する再生債権者は、裁判所に対し、異議申述期間の末日から三週間の不変期間内に、再生債権の評価の申立てをすることができる。ただし、当該再生債権が執行力ある債務名義又は終局判決のあるものである場合には、当該異議を述べた者が当該申立てをしなければならない。

 

民事再生法第244条

第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。

(通常の再生手続に関する規定の適用除外)

 

ただし、公正証書や支払督促等の債権については、当該異議を申述した者が評価の申立てをすることになります。

 

このように、裁判所によって評価された額が評価済債権として確定します。
 

民事再生法第230条 

【第8項】届出再生債権者は、一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかった届出再生債権(第二百二十六条第五項に規定するものを除く。以下「無異議債権」という。)については届出があった再生債権の額又は担保不足見込額に応じて、第二百二十七条第七項の規定により裁判所が債権の額又は担保不足見込額を定めた再生債権(以下「評価済債権」という。)についてはその額に応じて、それぞれ議決権を行使することができる。

(再生計画の認可又は不認可の決定)

 

再生債務者の注意事項!

 

なお、再生債務者の場合、債権者一覧表を申立てと同時に提出する際に、後日、異議を申述することがある旨の記載をしないでいると、債権者が債権届をしてこなかった場合に異議申述ができなくなります。
 

その場合は、債権者一覧表記載の金額に拘束されることになります。

 

言い換えれば、手続開始後に利息制限法によって引き直し計算をする際、債権額の減額ができなくなる恐れがありますので注意が必要です。
 

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