住宅ローンは、30年から35年といった、長年に支払う借金です。
 

その間に、事故や病気、リストラなどで収入が途絶え、住宅ローンの返済ができなくなる場合があります。

 

住宅ローンの支払いが滞ると、銀行は債務者からトーンを取り立てるための督促状等を送付してきます。

 

督促状が届いてもローンの支払いができないでいると、債務者の代わりに保証会社が住宅ローン債権を銀行に支払うことになります。
 

その後は、保証会社が債権者になり取り立てをすることになりますが、それでも支払えないでいると、保証会社は債務者の自宅を競売にかけることになるのです。
 

この章では、住宅ローンを組むにあたって、“必ず知っていなければならない抵当権の基礎知識”を、分かり易くご説明いたします。

 

ツワブキ(困難に負けない)ツワブキ(困難に負けない)

現在、住宅ローンを支払い中の方もぜひ、ご参考になさってくださいね。

住宅ローンを組むことにつく「抵当権」とは

 

民法369条

【第1項】抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

【第2項】地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

“向こう数十年に渡って”長期間の返済が続く住宅ローンには、必ず抵当権がつくことになります。
 

それでは、抵当権の基礎を確認する前に、“金銭消費貸借”をもう一度、おさらいしてみましょう。

 

金銭消費貸借とは何か

 

住宅ローンを組むことで金融機関と利用者の間には、民法587条に規定されている「消費貸借」の契約が締結します。

 

消費貸借とは、「借りたものは自分のものとして使用消費してもいいが、後日、同種同様のものを返還する」というものです。
 

住宅ローンの場合は、金銭を貸借するため、法律では正式には「金銭消費貸借」と呼ばれています。
 

この金銭消費貸借は、自動車ローンや教育ローン等の銀行の各ローンや、消費者金融などの借入でも同様に締結されます。

 

利息制限法で定められた上限金利とは

 

住宅ローンを組む場合には当然に利息が発生します。

 

その利率は、金融機関と契約者の同意のもとに決定されますが、利息制限法に定める利息の最高限度以上の利息をとると、その最高限度を超える部分は無効となります。
 

★利息制限法で定められた上限金利

・元本が10万円未満の場合は、年利20%まで

・元本が10万円以上100万円みまんの場合は、年利18%まで

・元本が100蔓延以上の場合は、年利15%まで

 

不動産を担保にする場合には抵当権が設定される

 

住宅ローンでは、数百万円から数千万円という大金の貸付が行われます。
 

そのため、貸付金を確実に受けれるよう、金融機関では担保をつけたり、連帯保証人を立てるといった対策をしています。

なお、購入する不動産を担保とする場合には、民法369条に規定されている抵当権が設定されることになります。

 

この「抵当権」は、住宅ローンを組むことで当然に設定されることになり、抵当権設定契約をもとに抵当権設定の登記がなされることになります。

 

抵当権とは何?

 

そもそも、住宅ローンを組む際に担保として設定される抵当権とは一体、どのようなものなのでしょうか。

 

消費者金融や住宅ローン等からの借金をする場合、その借金を担保するために、債務者の所有する土地や建物等の不動産を「抵当に入れる」ことがあります。
 

この「抵当に入れる」というのは、債務者の不動産に対して「抵当権」を設定するということです。
 

すなわち、債務者が借金を返済しない場合に、抵当権者(=債権者)は、抵当権設定者(=債務者)の土地や建物を競売して、その売却代金から債権の回収を図る権利のことをいいます。

 

つまり、債務者が住宅ローンの返済ができない場合には、抵当権が設定してある不動産を担保として取り上げて換金できる権利です。
 

このことから、住宅ローンを返済中においては、返済が終わるまでは“自分の家”とは言えないものがありましょう。
 

しかしながら抵当権には、抵当権を設定後も(もちろん担保に取られているものの)その抵当権設定者である債務者が、その不動産を継続的に使用したり収益することができます。

 

なお、抵当権は「担保の女王」と呼ばれており、担保としての機能に優れているので、実務上においても大変に多く利用される担保物件です。

 

担保物件とは、債権を確実に確保するための物権のことで、“債務者の物に対して担保を所持する権利”のことをいいます。

 

抵当権の効力「優先弁済権」とは?

 

抵当権の最も重要な効力が「優先弁済権」です。

 

優先弁済権とは、債務者が住宅ローンの返済ができない場合に、抵当権の設定された不動産を換価処分(=競売)でき、他の債権者に優先して債権の弁済を受けることができる効力をいいます。

 

なお、不動産に抵当権の登記がなされている場合、その不動産を第三債務者に売却しても、その不動産に対する抵当権の効力は第三者にも及んでしまいます。

 

抵当権の効力「物上代位」とは?

 

抵当権を設定している建物が火災等で滅失した場合、その変形物といえる財産に対しても担保権としての効力を及ぼします。

 

この場合の変形物とは、火災保険金等の保険金が債務者に支払われた場合、抵当権者はその火災保険金を差し押さえて、優先的に弁済を受けることができるのです。

 

また、抵当権を設定していた不動産が売却された場合にも、その売却代金を差し押さえることができます。

 

このような効力を「物上代位」といいます。(留置権には物上代位はありません。)

 

抵当権の設定手順とは?

 

抵当権は住宅ローンや消費者金融等の貸金債権などを担保するために設定されています。

 

このように、抵当権によって担保される債権のことを「被担保債権」といいます。

 

例えば、住宅ローンの貸付をした金融機関のAさんが、債務者のBさんに5000万円の貸金債権を持っていたとします。

 

これについて、抵当権を設定するには、AさんとBさんが抵当権設定契約を締結して、抵当権の登記をすることになります。
 

その結果、Aさんは5000万円を被担保債権とする抵当権をBさんに対して持つことになります。
 

この場合、Bさんが5000万円を弁済して完済したのであれば、Aさんが所持していた抵当権は消滅します。
 

なお、住宅ローンの返済を完済しましたら、抵当権の設定登記を消す「抵当権抹消登記」を行うことになります。

 

以上が原則的な抵当権の設定手順となります。

 

抵当権設定の際の評価額について

 

ここで、最も重要なことは、抵当権を設定するにおいて、目的とされる不動産の価値をどのように評価するかになります。

 

現実に、競売における競落価格がその評価額以上とは限らないのです。
 

例えば、(極端ですが)6000万円の被担保債権のために7000万円と評価した建物に抵当権を設定したとしましょう。

 

債務者である抵当権設定者のあなたにとっては、十分な担保権を設定されたかもしれません。
 

しかし、実際の競売で競落価格が4000万円であった場合には、その程度でしか抵当権による債権回収はできず、残りの2000万円については、無担保の債権として残ることになります。

 

このように、抵当権を設定する場合においては、目的となる不動産の価値を過大に評価しないように、最大な注意が必要となるのです。

 

抵当権の登記とは

 

抵当権を設定する契約を結ぶことで、抵当権の登記がなされることを「抵当権設定登記」といいます。

 

登記をすると、不動産登記簿という法務局に備えてある公簿に登記をしたことが記載されます。
 

登記簿というのは、不動産の権利関係を法的に記録(登録)した帳簿のことで、登記簿を見ることで、その不動産にどのような権利が設定されているのかがわかります。

 

なお、登記簿に記載されることで、不動産に権利を設定した人は、その権利を主張することができます。
 

不動産登記簿は「土地」と「建物」に分けられており、【表題部】と【権利部(甲区と乙区)】から成り立っています。

 

※改正不動産登記法により、甲区と乙区をまとめて【権利部】と呼ぶことになりました。
 

不動産の物理的な状況を表示する部分の表題部では、土地登記簿の場合、所在地の地番、地目、地積等が記載されています。

 

また建物登記簿の場合では、家屋番号、構造、床面積等が記載されています。
 

さらに権利部の甲区には所有権に関する事項が記載されており、乙区には不動産の所有権以外の権利(抵当権など)についての事項が記載されています。
 

なお、具体的には、権利部の甲区にはマイホームの所有者(住宅ローンの債務者の名前)が記載されています。
 

また乙区へは、担保権の内容を記載する欄となり、例えば、住宅ローンを借りた金融機関が抵当権を設定した旨等を記載しています。

 

なお、登記簿がコンピューター化されており、これまでの紙への記載から電磁的記録へと移行され、また、登記簿謄本においては「登記事項証明書」となり、抄本は「登記事項要約書」へと移行されております。

 

抵当権の順位について

 

抵当権の順位とは、一つの不動産に対して複数の抵当権が設定されている場合の各抵当権に与えられる順位のことをいいます。
 

もしも、あなたが既に住宅ローンを契約されておりましたら、不動産の権利証をご覧になってみてください。

 

その権利書に「1番抵当権設定」という文字を見つけることと思います。

 

場合によっては、「2番抵当権設定」があるかもしれません。

 

住宅ローンのお金を貸した金融機関は、抵当権を設定するときに「1番」という順番をつけて法務局へ届けているのです。

 

住宅ローンの返済ができなくなった場合、この「1番抵当権設定」の金融機関が一番目にお金を取り返すことができるのです。

 

なお、次に法務局へ抵当権の設定に来た「他」の金融機関は「1番」ではなく「2番」となります。

 

このように、抵当権の順位とは、その抵当権の登記がなされた先後で決まります。

 

なぜ「抵当権の順位」が問題となるのか

 

上記のように、そのような順位が問題となるのはなぜでしょうか。
 

一つの不動産に複数の抵当権が設定されている場合、競売がなされると、売却代金が抵当権の設定順位に従って、各抵当権者に支払われるからです。(この手続きを配当といいます。)
 

例えば多額な住宅ローンを貸した金融機関と、消費者金融が抵当権を設定しているとしましょう。
 

この場合、住宅ローンに対してお金を貸した金融機関にとっては、何としてでも優先的にお金を取り戻したいと考えます。

 

そこで、抵当権を設定するときに「1番」という順番をつけて法務局へ届けます。
 

配当の優先順位は登記順位に従って決まるので、債務者が住宅ローンを支払えなくなった場合に、金融機関が1番に配当されるわけです。

 

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「住宅ローンを組むと法律的にどのようになるのか」など、まずはしっかり抵当権のことを知ることから始まります。人生で1度の大きな買い物ですからね。住宅ローンを組む場合には慎重に!慎重に!ですよ!